REPORT > 他一般の考察

大容量燃料ポンプに交換する際の注意


燃料ポンプを社外品に交換する際には、その燃料ポンプの吐出性能をしっかりと把握しておき製品を選択することが大切。私の場合、燃料ポンプの選択には非常に頭を悩ませられた。GZ10の純正燃料ポンプの吐出量は80L/H。エンジンスワップしたインチキショップはこれでも一応足りると言っていたが足りるわけがないのである。
燃料ポンプの吐出量から適応できる最大馬力を求める計算式があり、吐出量/60/気筒数=馬力。(4気筒車はこれに0.666をかけるらしい)、これにあてはめると80L/Hの場合、80000/60/6=222.2psとなる。これでは1JZGTエンジンのノーマル馬力280psにもはるかに劣る。そこで1JZGT搭載車の純正燃料ポンプはどうかというと125L/H。これだと125000/60/6=347.2psとなり、ブーストアップでも足りる計算である。
もっともこの計算は特定の時点での燃料ポンプの吐出量を計算した例に過ぎない。というのも燃料ポンプは燃圧がかかるにつれ吐出量も減少していくからである。過度のブーストアップをした場合、必要な燃圧はかかったとしても燃料吐出量が足りているかどうかは、その時点での吐出量で再度計算しなければいけない。
また、燃料ポンプのメーカーや販売サイドによっては燃料ポンプの吐出量と基準電圧の表示において違いがあるので注意が必要です。GSL393という燃料ポンプを例にとると、これは一般には160L/H燃料ポンプとして販売されているが、この数値は13.5Vの場合なので、ボッシュが基準に使う12Vにあわせると135L/H(12V)燃料ポンプとなる。
これに加えて年式の古い車輌は燃料ポンプ前で電圧がしっかりかかっているか確認しておく必要がある。車の多くはレジスターあるいはフューエルポンプコントローラーといった部品により燃料ポンプの駆動電圧を段階的に増減させ、燃料ポンプ自体の作動音や稼働率を制限しているので、この電圧変動が社外の燃料ポンプの電圧特性と合わなくなり、想定した吐出性能を発揮できないこともあると考える。


ただ、大容量燃料ポンプに交換するのであれば、ROMの再セッティングを行う等燃料セッティングの変更は必須である。私のように安心の為にと燃料ポンプ交換を考える人が多いと思うが、純正CPUもいわゆるツルシのチューンドCPUも純正燃料ポンプおよび純正燃圧でセッティングがされているのであるから、燃料ポンプのみ大容量燃料ポンプに交換しても、良くなるどころか全域で燃料が濃くなりエンジンは重く回らなくなる。
加えて多くの人が勘違いしていることに、インジェクターとレギュレーターがノーマルであれば燃料ポンプを大容量の物に変更しても、インジェクターから噴射されるガソリンの量は変わらないだろうということがある。これが最大の勘違いで、インジェクターはただの開け閉めするだけの弁であり、インジェクターがガソリン噴射量を何CC単位でコントロールしてるわけじゃない。リターンホースに余裕がない場合、インジェクター前でガソリンが必要以上に溜ってしまうが、元々のセッティング通りに決められた設定時間に基づきインジェクターの弁を開けるので、想定以上にガソリンが噴射されてしまうということになる。このように善かれと思い行った大容量燃料ポンプへの交換が逆効果となるのだ。よほど燃調の薄いギリギリセッティングだった場合は吉とでる場合もあるだろうが、とりあえず大容量の燃料ポンプに交換しとけばOKだなどというのはごくごく稀なケースじゃないのかと思う。
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