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クランクケース内圧コントロールバルブを開発された株式会社 ナグ・エスイーディの永冶さんより資料をいただきましたので公開させていただきます。

クランクケース内圧コントロールバルブ

4サイクルエンジンと2サイクルエンジンでは、エンジンブレーキの効き方が違うのはご承知の方も多いと思われるが、“クランクケース内圧コントロールバルブとは”を説明する前に、2サイクルエンジンのエンジンブレーキが弱い現象について、少しだけ触れておきたい。

2サイクルの吸入工程ではピストンが上死点に移動する際に、キャブレターから燃料と空気をクランクケースに取り入れ、下降したときに送気ポートを通って燃焼室に送られ、圧縮されて燃焼、の工程を繰り返すことで連続して回転する。すなわち、アクセルを閉じると燃料も空気もクランク室には送られないことになる。したがってクランク室にも、燃焼室にも、圧縮すべき空気が存在しない(少ししかない)ために エンジンブレーキ(圧縮抵抗)が弱いのである。

これに対して、4サイクルエンジンのクランクケースはブリーザーパイプを介して外気やエアークリナーボックス内に通じており、常にケース内に空気が存在するために、2サイクルと同じようにスロットルを戻してもケース内空気が圧縮されて、この抵抗がエンジンブレーキとなるのである。
言い換えると、エンジンブレーキはエンジン始動時から既に存在し、走行中はエンジンブレーキを押しのけて進むことになる。したがって、クランクケース内圧を低く保つことはフリクション低減をもたらし、走りが良くなったり、振動が減ったり、燃費が良くなるなどのメリットを生むのである。

内圧の上がりやすいエンジンとは、L型、V型などのように一つのクランクケースを共用するタイプや、360度ツイン、ボクサーなどに見られるように2個のピストンが同時に同じ方向に動くエンジンなどになる。
シングルエンジンで小さい排気量をボアーアップした場合などは、ピストン面積が増えた分の受圧抵抗(パスカルの原理)が加わり、更に回転上昇の遅いエンジンになるのである。この現象は、同型のエンジンでも排気量の大きいクラスのピックアップが鈍い現象となって現れる。もう一つ同じように、エンジンとミッションの分離給油タイプのエンジンでは、それまで圧縮の受け皿として利用できたミッション部分の空気ボリュームが無くなった分、更に顕著にこの現象が現れ、機種によっては200~500回転もアイドル回転が上昇する場合もある。

実際に、大した圧力とは考えられないような事象であるが、エンジンオイル交換時に入れすぎたオイル量によって、エンジンが重くなる現象を体感した人も少なくないのではないだろうか。また、交換直前のオイル量が減った状態でレスポンスが良く感じるのも同じ現象である。このように考えてみれば、ごくわずかな空気ボリュームによって左右されていることが解る。

ブローオフ・バルブ(*クランクケース内圧コントロールの項を先にお読み下さい。)

ブローオフ・バルブの作用は、速度に比例して過剰なまでに高くなるBOX内圧の制御と、高速走行時でエンジンブレーキを使用する際に、スロットルを戻した時の最高圧に上昇するBOX内圧を逃がし、最適な状態に保つ装置である。
したがって、RAM圧仕様車両以外には装着するメリットは無い。

STDの状態
ブローバイパイプに進入防止弁(この場合は、クランクケース内圧コントロールバルブ)が無い状態で、高速走行中にスロットルを閉じた場合に行き場を失った圧力が、容易にクランクケース内圧を上昇させてしまうことは想像に難くない。

これを分析すると、スロットル・オフ→走行風圧が行き場を失う→クランクケース内に進入→エンブレがきつくなる→減速→旋回→加速開始→クランクケース内が減圧→ドン付き、となる。即ちエンジンの回転を強制的に押さえていた内圧がスロットル徐開と共に放出されるために、エンジンが勝手に回りだしてドン付きを誘発する。決して有り余るパワーのなせる技では無い。

同じように燃焼室も、高度にチューニングされたエンジンほど過剰な供給を嫌うのである。具体的な弊害として、前述のスロットル・オフ以外に生じる不具合は、道交法を遵守していれば問題ない速度を”超過”した場合に、クランクケース内圧上昇と同時に燃焼室内圧も上昇して異常燃焼(デトネーション)を誘発しやすくなる。レースの世界ではベンチで高出力を誇るエンジンほど、実走行では扱いにくく セッティングの出にくいエンジン特性に変わる。(低いギヤでエンジンが高回転で回っている場合はこの限りではない。)

別な言い方をすると、ベンチで高出力を記録した空気圧(大気圧)以外の条件下では、マイナス要素が多くなる。ターボ圧を例に取ると、圧力を上げすぎたエンジンは高出力を得られないために、余剰圧を逃がすウエストゲート・バルブを用いる。
高すぎる圧縮比や、高すぎる充填効率は、逆に圧縮抵抗になってしまうのである。

逆車の中には、スロットルを戻したときにRAMダクト通路が遮断閉鎖される機構を用いる機種があるが、完全密閉構造ではエンジンのアイドルすら不可能になるために、必ず不完全な状態で通路が遮断される。結果として、隙間から忍び込んだ圧力は同じようにクランクケース内圧上昇を招き不具合を起こす。

見方を変えると、海に発生する通常の波程度であれば行き過ごさせることが出来るが、津波のような切れ間のない外圧は防ぎようが無いのである。例えば通路を塞ぐのでは無く、通路の一部(例:ダクトの底の一部など)が持ち上がって、通路を塞ぐと同時に外気に放出する開口部が現れる方が望ましいといえる。が・・・最高速の状態では同じ手は使えないことになる。
バックトルクリミッターは強烈なトルクを遮断することで、エンジンブレーキの緩和をする事が、エンジン側の根本的な特性や燃費などの問題は解決できないのである。

最後に、RAM・SYSTEMを加圧装置と捉えずに、吸気抵抗を減らし充填効率を上げる手段と捉えた方がより素直なエンジン特性を得ることが出来る。ちなみに、RAMは時速40Km/h程度でも体感できるからである。

2006年1月31日

文責 (株)ナグ・エスイーディ:代表 永冶 司

最終更新日時:2006-02-08 17:26:00

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