REPORT > サスペンション考察

ヘルパースプリングを利用したバネレートと車高の計算方法


ヘルパースプリングを利用した車高調整式サスペンションの場合は、ちょっと頭を使って計算してあげなければいけない。
この計算をせずに適当にヘルパースプリングやメインスプリングを買ってきたりすると、ヘルパースプリングのストロークが足りなかったりして、結局ヘルパースプリングを入れても遊ばせなければ希望の車高ダウン量にならないなんてことが起きたり、ロアシートの調整幅が足らずにセットできないなんてことが起きるので、注意すること。左の画像はイラストレーターで作成したセット例の画像だが、画像を見たくらいでは理解できないと思うので、以下にあげるセット例に示した計算式と説明文に、自分のスプリングやショックアブソーバーの数値を実際に当てはめ計算してもらう必要が有る。
バネレートと車高の関係を事前に理解し計算しておかないと、無駄なスプリングを買い込んで失敗するばかりか、仮に用意したスプリングがぴったりだとしても、希望車高にあわせるのに何度も何度もジャッキアップを繰り返すことになる。
なお、イラストレーターをお持ちの方はこちらのファイルが便利です。複数のレイヤーを設定しほぼ実寸でやったので車高調整の設定にいろいろ使えると思います。

●AW11:NSC4074(SSP4074):529-362=167 / 10kgメイン/200mm / ヘルパー併用

AW11用のNSC4074(SSP4074)を使った場合、10kgスプリングを使った場合、バネ上荷重320kgのとき1Gダウン量は32mm、1G時のショックアブソーバーの残りストロークは135mm。ストラットケースの底にスペーサーを入れて使うことにし、ここではショックアブソーバーのボディサイズを360mmとし、遊びなしで組んだ場合のセット長は495mmとなり、「5cmダウン時のセット長470mm」を基準に差を求めると2.5cm(25mm)ダウンとなる。
で、車高ダウン量が物足りないので、ここでは5cmダウンを狙うこととする。

1G時に5cmダウンとなる470mmのセット長を狙うためにスプリングのセット位置を25mm下げてやれば良いのだが、下げた分だけスプリングが遊ぶのでここでもヘルパーを使った組み方をする。

★★Swiftの3kg:メイン10kg
Swiftの3kg(密着長24mm/密着荷重120kg)のヘルパーを組むとして、320kg-120kgで一輪あたりの荷重が200kgとなり、10kgのメインスプリングは1Gで20mmしか縮まない。
ショックアブソーバーの最大長(Lmax)は360+167=527mmなので、この527mmから5cmダウンとなるセット長470mmを引いた57mmがヘルパー装着時のトータル1Gダウン量となる。
で、必要なヘルパースプリングのストロークを算出してやらなくてはいけない。

●200mmスプリング+ヘルパーの場合:
1Gがかかると、ヘルパースプリングは24mm厚に密着し、200mmのメインスプリングは180mmに縮むので、メインスプリングの全長+ヘルパーの全長-トータル1Gダウン量(200+Y-57)=IG時のメインスプリングの全長+ヘルパーの密着長(180+24)という式がでる。
Yを求めると61mmとなり、ヘルパースプリングに必要なストロークは61mmと算出される。
また、このセットを行う為には、ヘルパーとメインの長さの合計261mmが必要になるので、261-167=94mmのロアシート稼働域を持つ車高調整サスペンションでないといけないというのがわかる。
ショックのバンプストローク(167-57=110)-スプリングのバンプストローク[(61-24)+(100-24)=37+76=113]

●180mmスプリング+ヘルパーの場合:
1Gがかかると、ヘルパースプリングは24mm厚に密着し、180mmのメインスプリングは160mmに縮むので、メインスプリングの全長+ヘルパーの全長-トータル1Gダウン量(180+Y-57)=IG時のメインスプリングの全長+ヘルパーの密着長(160+24)という式がでる。
Yを求めると41mmとなり、ヘルパースプリングに必要なストロークは41mmと算出される。
また、このセットを行う為には、ヘルパーとメインの長さの合計221mmが必要になるので、221-167=54mmのロアシート稼働域を持つ車高調整サスペンションでないといけないというのがわかる。
ショックのバンプストローク(167-57=110)-スプリングのバンプストローク[(61-24)+(86-24)=37+62=99]

★★Swiftの0.8kg:メイン12kg
Swiftの0.8kg(密着長24mm/密着荷重43kg)のヘルパーを組むとして、320kg-43kgで一輪あたりの荷重が277kgとなり、12kgのメインスプリングは1Gで23mmしか縮まない。
ショックアブソーバーの最大長(Lmax)は360+167=527mmなので、この527mmから5cmダウンとなるセット長470mmを引いた57mmがヘルパー装着時のトータル1Gダウン量となる。
で、必要なヘルパースプリングのストロークを算出してやらなくてはいけない。

●200mmスプリング+ヘルパーの場合:
1Gがかかると、ヘルパースプリングは24mm厚に密着し、200mmのメインスプリングは177mmに縮むので、メインスプリングの全長+ヘルパーの全長-トータル1Gダウン量(200+Y-57)=IG時のメインスプリングの全長+ヘルパーの密着長(177+24)という式がでる。
Yを求めると58mmとなり、ヘルパースプリングに必要なストロークは58mmと算出される。
また、このセットを行う為には、ヘルパーとメインの長さの合計258mmが必要になるので、258-167=91mmのロアシート稼働域を持つ車高調整サスペンションでないといけないというのがわかる。
ショックのバンプストローク(167-57=110)-スプリングのバンプストローク[(58-24)+(100-24)=34+76=110]

●180mmスプリング+ヘルパーの場合:
1Gがかかると、ヘルパースプリングは24mm厚に密着し、180mmのメインスプリングは157mmに縮むので、メインスプリングの全長+ヘルパーの全長-トータル1Gダウン量(180+Y-57)=IG時のメインスプリングの全長+ヘルパーの密着長(157+24)という式がでる。
Yを求めると58mmとなり、ヘルパースプリングに必要なストロークは58mmと算出される。
また、このセットを行う為には、ヘルパーとメインの長さの合計238mmが必要になるので、238-167=71mmのロアシート稼働域を持つ車高調整サスペンションでないといけないというのがわかる。
ショックのバンプストローク(167-57=110)-スプリングのバンプストローク[(58-24)+(86-24)=34+62=97]

いずれにせよ、200mmスプリングであればOK、180mmスプリングではスプリングのバンプストロークが足らないということになる。
ただし、もう一つの条件である「その車の取付荷重の2.5倍が、使用するスプリングの密着荷重を下回っている事」ということに関しては、200mmスプリングは1000kg、180mmスプリングは860kgであるから、どちらのスプリングでもよいことになる。
ん〜、偉そうに書いてみたけども計算はこれでいいのか?(笑)

参考:
Swift:ヘルパー/アシストスプリング一覧表
Swift:直巻スプリング一覧表
GAB:65φスプリング一覧表

こちらのページにサスペンションに関するオススメ本をまとめてみました。ぜひ読んでみて下さい。
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