アイドリング異常の点検と修理
と思っていたらアイドリング異常が再発、結局ECU故障が判明し、ECUの電解コンデンサーを交換する事で解決した。
まずやってはいけないのが、各所のチェックもせずにいきなりスロットルボディにあるアイドリングストップスクリューで調整しようとすること。アイドリングストップスクリューのナットに白いペイントが残っており、ズレがないのであれば手はつけてはいけない。
たいていアイドリングがおかしいというのは、以下の症状。
1・始動時にアイドルアップがかからず、妙にアイドリングが低い。
2・アイドリングが高くなる。
3・ハンチングする。
4・アイドリングせずにエンジンストールする
5・症状が複合してでる。
このうち、簡単なのは1番の場合、これは水温センサーが故障したか、断線したかでEFIに水温情報が届かなくなり、ECUよりISCVにアイドルアップ信号が送られなくなる、もしくはISCVが故障して動作していない場合になる症状。他はちょっとやっかいで、下記に示すように各所のチェックを要する。
ただ、ハンチングするとか、症状が出るというのは、いずれかのセンサーからの信号をもとにEFIからのフェイルセーフ制御が働いているからこそおこるのであって、少し安心してよい。
例えば、ハンチングするのは、症状としては結構ビビるが、EFIから送られるアイドリングを下げようとする制御と、アイドリングを反対にあげようとする制御がぶつかる為に起こるのであって、いずれかのセンサーが出す信号がおかしいにせよ、EFIはとりあえずは正常に対応しているといえる。
さて、以降は私なりにまとめたアイドリング異常のチェックと修理の手順書です。がんばってみてください。なお、プラグだけは新品に交換した上で以下のチェックを進めてください。でないと何の意味もないです。
アイドリングがおかしいという症状に気づいたら、まずバキュームホースをチェックしサージタンクへの2次空気の流入出を疑う。サージタンクから出入りしているバキュームホースをプライヤー等でしっかり挟むか、外してゴム栓をする等して症状の変化を見る。アイドリングが高いという症状であれば、どこからか空気が入ってきていることがまず第一に考えられる。アイドリング異常の症状として、始動時は問題ないアイドリング回転数であってもしばらく走行するとアイドリング回転数が上がってきてしまうというのがあるが、こういった場合、キャニスターパージ用VSVからサージタンクに繋がるバキュームホースをつぶしてみたりしてチェックする。
バキュームホースがOKであれば、とりあえずエンジンコンディショナー等でスロットルボディ、ISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)を外して洗浄してみる。カーボン付着によるスロットルボディのバタフライやISCVのバルブ動作不良の問題であれば、これで直る。ただし、これで直るのはごくごく軽症の場合で、むしろ、スロットルボディやISCVを外した際につながるコネクターのつけ外しを伴うため、運良くというかなんというかそれらの配線の断線が一時的に解消されてしまい、それが原因でアイドリング異常が直ったと勘違いしてしまうケースもあるので注意したい。
アイドリングせずにエンジンストールするとか、温暖な時期の冷間時始動でアイドリングが高いとか言う場合は、チャコールキャニスターまわりをチェックする。チャコールキャニスターがその機能を果たさなくなってくると、生ガスがサージタンクに吹き込まれてしまい、必要以上に空燃費が濃くなりエンジンストールしたり、逆に、始動時増量がさらに追加されたような状態となってアイドリングがやたら高くなる等の症状がでる。チャコールキャニスターは本来定期交換部品なのだが、地味であるが故昔程メンテナンスの話題にも上らないことが多いので、これを外してみて妙に重みがあると感じる場合は新品交換をすすめる。
ここまでで変化がみられない場合、ダイアグノーシスでのチェックを行う。もちろん一番最初に行ってもかまわない。ただしセンサーによっては断線が起きていても、それが永続的に起きていない場合等は異常コードが記憶されないこともあるので、ダイアグノーシスで何も出ないからといって、そこが問題ないとは言えない。あわせて、ダイアグノーシスはすべての部品の劣化判断をするように設定もされていないということを覚えておくこと。
そこで次にチェックすべきは各センサーのコネクタ(カプラー)と配線。
ダイアグノーシスのチェックで何も異常が検出されない箇所であっても、エンジンの傾きや重力によりセンサーの配線がその瞬間に抜けてしまうということが起きていることがある。一見何の問題もなく見えるコネクタであっても、指で引っ張ってみたら端子が抜けてしまった等ということもあるので注意が必要。特に使用年数が長い車両や熱のかかる箇所にあるコネクタは丁寧にコネクタを抜こうとしたとしてもあっさりと破損してしまうことがある。また修理工場での作業時に破損させてしまい、あなたにはそれを告げずに壊れたコネクタを再使用してしまっていることもあるので注意されたい。
また、変化が見られるコネクタや配線を見つけたとしても、複数のセンサーへいく配線が一緒に束ねられている事も多いので断線箇所を勘違いしてしまわないようにしてください。
コネクタや配線に問題がないとなれば、ここではじめてセンサー自体の不良を疑うべき。その際、あなたの車の新型車解説書等を参考に、どのセンサーがどういう動作をするのか、壊れた場合どういったフェイルセーフ制御がはいるのかを調べてみると案外とピンポイントで交換すべきセンサーを見分けられるかもしれない。ただし、マニュアル通りの壊れ方をしてくれるとも限らないのがセンサー類なので、走行距離等から適当であれば交換してみるのも有効。
ここまでで状況に変化がない場合、キャニスターパージ用VSVあるいはISCVが電気的に動作不良を起こしているかも知れない。これらはECUからの信号により動作をするので、誤動作する可能性がある。キャニスターパージ用VSV交換であれば数千円、ISCV交換だと数万円の出費となる。
ISCVの故障のチェックには、ISCVのコネクタを外してアイドリングの変化を見るというのがあるが、ISCVの構造により、コネクタを外した際の変化に違いがあるので注意すること。
リニアソレノイド式は低くなり、ロータリバルブ式は高くなるのだが、ステッピングモータ式はコネクタを抜いてもリセットされずにそのときの開度で停止するだけなのでアイドリングは変化しない。ステッピングモータ式のISCVはコネクタを接続した状態でエンジンを停止させ、次にコネクタを外して再始動した時に、回転数が高くなるのが正常で、変化がなければ、ISCVが作動していない、つまり、正常であれば、前回のエンジン停止時にISCVが全開固定されるようにECUからは信号が出されており、始動前にコネクタを抜いてしまえば何ら動作信号は入らないので、ISCVは開きっぱなしになりそれでアイドリングが高くなるというわけだ。 IJZGTのISCVはステッピングモーター式なので、俗にいわれる「アイドリング中にISCVのコネクタを外しても変化がないならISCVが故障しているのでは」と考えるのはあてはまらない。
1JZGTのISCVのチェック方法はこちらに記載。
なお、1JZGTのISCVは完全に非分解となっているため、7MGTのISCVのように分解して修理というのができない。当サイトからリンクする雅屋さんのサイトに1JZGTの非分解ISCVを無理矢理分解するというコンテンツがあるが、一般的には二の足を踏むだろう。
さて、これで直らないとすると、インジェクター等がいかれてるとか燃料系統でトラブルがあるか、恐いことを言えば、ECUの基盤不良が起こっているとか、ISCVから出る電圧異常によりECUが壊れてしまうという例もあるが、ほんとにECU故障がアイドリング異常の原因だったという例はさんざん情報を集めてみたが非常に少なく、多くはECU故障と判断してECU交換に踏み切ったものの、アイドリング異常が再発したり、直らなかったりというものばかりであった。
ただ、エンジンは異なるが、ECU内部のコンデンサーが熱や7〜10年という経年劣化で壊れるというのは確かに多くあり、中にはコンデンサー単体を自分で交換して修理されている例もあり、ホンダのビートというクルマのECUのコンデンサー交換は多くのオーナーの方々が自分で修理している例が多い。
とかなんとか書いている間に、アイドリング異常が再発、最後の選択、ECU交換チェックを行ったところ、ECU故障が判明、ECUの電解コンデンサー交換による修理を行った。
ECUの電解コンデンサー交換は関連するコンテンツをご覧ください。
このアイテムは閲覧専用です。コメントの投稿、投票はできません。