REPORT > サスペンション考察

フルタップ車高調整式サスペンション


某社からフルタップ車高調製作キットが31500円で発売されている。これをストラット持ち込みで組んでもらって79000円。カートリッジ式のショックアブソーバーが使えるのも良い。だけどもカートリッジケースの長さが275mmの設定のみというのが、街乗りでのストロークの必要性をあらためて考え始めた私的には残念。
加えて、カートリッジ部分をスピンドル上部で切断し、カートリッジを受ける部分をぐるっと溶接という制作方法に強度的な不安がある。

このサイズのケースに入るものとなるとTRDのEP71用ショックアブソーバーを利用するものと思われるが、TRD品番が不明なので、YZさんのカタログでチェックしたところ、ストロークは118~115mmらしい。どうにも短い。
ストロークが短いということは、当然のこと伸び側ストロークが短くなるし、縮み側ストロークを確保するためにもハードレートのスプリングを使うはめになってしまう。とりあえず10kmのスプリングを使うとして1G時のダウン量が30mm、ここで残りのストロークは88~85mm、サーキットでの利用を重視し、街乗りの乗り心地は無視するということであればいいかもしれないが。また、Z10系ソアラで街乗りメインでこのサイズとなると、フルタップ式とはいえ車高調整幅のほぼ最高位置に近いところで使わざるをえないのではないかと思う。もっとも引っ張りタイヤでベタベタ車高にとかいうわけわからないクルマなら別だが。また、掲載されているキット画像よりサイズを推測してみたが、10kgスプリングで5cmダウンを想定すると、カートリッジのネジ部分のかかりがかなり浅くなるが大丈夫なんだろうか。

そこで、カートリッジケースは340mmあたりで特注するのが良いのではないかと考えた。カートリッジケースの長さが340mmあれば、AE92用など利用できるショックアブソーバーも選択肢が多くなるし、車高調整できる範囲はスプリングの選択に応じてプラスマイナス10mmほどとればよい。というか車高調整幅がもっと必要だというのはそもそもフルタップ車高調整式サスペンションを作る以前にプランニング段階で間違えていると考える。
この図は275mmカートリッジケースが全長275mmとしての想像図なので、某社製のフルタップキットとは異なる可能性が多分にあることを理解してご覧ください。
なお、イラストレーターがある場合は、こちらのファイルが便利です。複数のレイヤーを設定しほぼ実寸でやったので車高調整の設定にいろいろ使えると思います。

カートリッジケースの特注について、キットを販売されているメーカーサイトより問い合わせしてみたが、340mmカートリッジケースはあるということだった。つまり選択可能なのか?と思ったのだが、特殊な用途でもなければ利用するのは無理だとのこと。
なんでだろ?と思って、再度各部のサイズを問い合わせたのだが返答がない。

当初に書いた強度的な不安だが、この制作方法ではやはり弱いらしい。
スピンドル部分とストラットケースの境目で切断して、受け部分をくるっと溶接するのでは、どう考えても強度不足じゃないだろうか。なんかポキポキっていう感じだという現場サイドの話もあった。
思うに、溶接といってもようはくるっとくっつけただけと違うの?。例えば、丸棒を平らなところにたてて、くるっと外周を強力な2液式の接着剤などでくっつけてやっても、横からドンっと叩けばはずれてしまうでしょ。そういう不安があります。
考えたのだが、ストラットケースの外径のサイズで完全にくりぬいてしまい、そこにきっちりはまるサイズの受け部分を圧入し、上下で溶接するなどしないと強度的に厳しいのではないだろうか。
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