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エンジンスワップの恐い話:インチキエンジンスワップ業者には要注意


この内容は2001年2月に神奈川県の県央部(2005年10月所在地)の某チューニングショップに1JZGTエンジンスワップの作業を依頼した際に行われた紛れもない事実の記録である。なお、このショップは雑誌などでも時々、取材記事がでることもあり、エンジンスワップやATからMTミッションへの載せ替えなどを謳っている。

「エンジンスワップおまかせください」には気をつけて。
もし広告につられてこのお店に作業依頼しようとしている方がいるのならば、もう一度考え直す事をお勧めします。また、色々聞いても「問題ないですよ、今までトラブル出ていませんから」という返事を聞くことが多かったように記憶しているが、これはトラブルが出ていないのではなく、トラブルが出ても私のようにあきれてしまって、このショップにフィードバックが返らないだけの話である。ネットで検索をかけてもこのショップでエンジンスワップしたという報告が見当たらない 、あるいはちょっと前迄ここでチューニングしたと書いてあったものが消され、トラブル報告に変わっている所等がみられることなどからも状況は察することができると思う。

まずいえることは、このショップでエンジンをスワップしてしまった方はじっくり何のエンジンだか調べ直した方がいいだろうということ。私もエンジンスワップ完了後にカタログや原物車両を見て歩いて初めて気付いた事なのであるが、私のクルマに載せられた1JZGTツインターボひとつとっても、ブローバイの戻り位置の違いで見る前期後期のチェックや、TRCのサブスロットルモーター部分のあるなし、サブスロットルにTRCと書かれているかETCSとなっているかという違い、冷却ファン駆動方式により異なるウォーターポンプの違い、インタークーラーへのパイピングに繋がる部分の出口の違い等様々なチェックポイントがある。

大まかですが、以下のことが、このショップにエンジンスワップを依頼した結果です。

ペイント跡のあるエンジン
エンジンスワップが完了したと聞いて意気揚々とショップへ、ここで私は最初のショックを受けた。スワップするエンジンは程度の良いものをとしっかりお願いしていたにも拘らず、のせられたエンジンのプラグカバーとタイミングベルトのカバーにはしっかりとカラースプレーで着色された後があったのだ。あきらかに以前にいじられていた形跡丸出しである。おまけにそのペイントも見事にところどころペイントがはがれた状態、「途中まで剥がしてみたけど落ちなくて・・」といっていたが、後日薄め液を使い自分でやったら簡単に白ペイントは落とす事ができた。「剥がしてみたけど」といいつつ何もしなかったのではないかと思う。最後には「これしかなかったもんで」だそうだ。話も聞くうちに判明したのだがCPUも社外のものであった。

年式不明のエンジン
後日、部品共販にエンジンの部品を注文しようとして、エンジンスワップを行ったショップにエンジンが搭載されていた車両の年式を聞いたのだが「いやー、そこまではわかりません」といわれてしまった。引き取り時には走行距離は5万キロ程といっていたにもかかわらずなぜ年式がわからないのか?。元の搭載車両の車体番号までは厳しくとも、今どきどこの中古車部品店でも年式はばっちり控えてるのが普通。ましてや教えない中古部品業者などいないはずである。

フューエルポンプからガソリン漏れ
一番参ったのはフューエルポンプのフィッティング部からガソリン漏れ。ショップで装着してもらい自宅へ戻ったもののなんだかガソリン臭い、旧いポンプを持ち帰ったため、その臭いかと思っていたが、翌日クルマを動かしてみてびっくり、3、40センチ程のガソリンのシミというよりガソリンたまりがガレージの床にできていたのだ。覗くとポタポタとけっこうなペースでまるで点滴の様に漏れている。すぐさま電話を入れるが、すでに自分はお店を出てしまっており、明日は休日、明後日もってきてくれという。は?、へ?、お客のクルマがしかも取り付けた翌日にガソリン漏れだというのに、持ってきてくれ?、もうあぜん呆然。スパナ一本持って飛んで来るのがこういった場合必要なんじゃないのかな。仕方なく別のクルマを使い合いそうなスパナを捜しまわり購入、が、スパナで締めてみるも漏れは納まらなかった。諦めて指定日に恐怖の中ショップまで自走した。途中で私のクルマのマフラーの熱などで気化したガソリンが引火してドカンといったらどうするつもりだったのか。ショップまでの道中はほんとに恐かった。

JZX90?JZX81じゃないの?
載せ代えられたエンジンはJZX90のものであると聞かされていたのだが、JZX90の1JZGTとは思えないものを発見してしまった。それはインタークーラーへのパイプの曲がりと出口のカットである。JZX90のものであればエンジンを正面から見るとパイプは90度に曲がっておりその出口は垂直になものであるはずなのだが、私の1JZGTはJZX81やJZA70の1JZGTのようにパイプが45度エルボー状であり、その出口が斜になっている。ペイントされたエンジンをそのまま載せてくるようなショップなのでココだけかえた等という事はするはずがないであろう。作業前の打ち合わせではJZX81の1JZGTは年式的にも旧いので止めましょうと私もショップ側も双方で確認したにもかかわらずコレである。
またコンピュータもなぜだか他所のショップのチューンドコンピュータで、これも「これしかなかったもので」とやられてしまったのだが、よくよく調べるとコンピュータのコネクタ端子形状からJZX90用ではない事が判明、さらにエンジンがJZX81だとするとマニュアル設定はなかったはず、となるとコンピュータはJZA70じゃあないのかとここまで判明している。

同じ様にやられてるGX70マーク2バンやGX71がいた
その後yahooオークションで同じショップで作業した1JZGTスワップのマーク2バンが出品(2002年9月)されていたが、冷却に難ありでリザーバーに沸騰した冷却水が吹き返すという完全なオーバーヒート症状をだしているそうだ。この1JZGTスワップのGX70マーク2バンはスワップ後一年で売却ということで、これも同様におそらくファンがまともに回っていないのであろう。せっかくお金ためてスワップしたのに1年で売却とはなんとも可哀想な話だ。しかも私と同様にエンジン単体なので走行距離不明といわれたようである。
またGX71の方にいたっては、自分のホームページで当初この業者名を書いていたが、続々と出るおかしな作業跡の判明にそれらを消してしまった。

ファンが回っていなかったという事実
これまでずっと気になっていた水温の上昇。ファンは回っていたには回っていたのだが冷間時と100度をオーバーしてる時でもファンの速度に変化がないのであった。てっきり私は電子制御油圧駆動クーリングファンは無段階変速なので見ても回転の差等わからないのだと思っていたが、ある方の助言でクーリングファンコンピュータの動作を確認した方が良いと検査方法等を教えていただいた。するとこれまで聞いた事も見た事もないような速度でファンが回転したのである。
思えば引き取る時に「ちょっと水温が上がりぎみですけど・・」といわれたのだが、考えてみれば2月末のまだヒーターをかけてるという時期だというのに水温が気になる等というのはエンジンスワップ車だからといっておかしいと思うべきだった。自分自身でも反省しているが、まともにファンが回っているかどうかもチェックしないのか、もしくはできないのか、最悪なのはチェックしてもそのまま引き渡してしまう行為が信じられない。

むき出しの端子
スワップ時に純正メータをはずしSTACKメータを同時装着したのだが、あらたにメーターを追加しようとしてメーターナセルを外してみて驚いた。純正のメーターコネクタをばらしてSTACKメータに必要な配線を引き出しているのだが、使われていない端子やコードが絶縁処理もされないままメーターの裏でぷらぷらしていたのである。それも1本や2本ではない。おまけにコネクタからはずれかかった端子もそのまま。まさか電圧はかかっていないだろうとおもったのだがテスターをかけるとしっかり電圧がかかっており、数本は足下のすぐそばまで垂れたままで非常に危険な状態であった。後日、自分で修理することになるが、未処理の配線を一部見落としており、この配線のショートで路上でエンジンストップしてしまった。

「ス」だらけのパイプ溶接
納車後2、3日して気付いたのがインタークーラーへのパイピングの溶接部分の「ス」、パイピングにまわったブローバイがそこから吹いてるのですぐに気付いたわけである。また、ブリッツのSUSエアクリーナーの台座部分を直接パイピングに溶接していたが、ここは「ス」といったレベルではなく完全な隙間があちこちにあったので、アルミパテで自分で塞いだ。こんなんじゃまともに走らないよ。曲げもいいかげん、曲げというより、そばにあったのをつけといたという感じ。インタークーラー出口からの曲がり部分は頭を使わずに処理したとおぼしきレイアウト、というのも車体で一番低いのがインタークーラー出口からの曲がり部分、前から見るとフロントスポイラー下部より曲げ部分がこんにちはーという状況だった。ほんとにこんな溶接で商売している者がいるとかと思うとぞっとする。

このショップは燃圧の知識がないみたい
納車当初は「燃圧は一応足りてる」と言われたのでノーマルポンプのまましばらく乗ったのだが、安心のためにと、このショップでボッシュの燃料ポンプと調整式レギュレータを入れてもらった。その後、先述したようにガソリン漏れがあったので車を持ち込み、走行中やアクセルオフの時に1.9とか表示するけど大丈夫ですか?というと、このショップのオーナーはアイドリング中のままレギュレータでなんとアイドリング時の燃圧を3.0以上に設定してくれたのであった。(それを疑いもなく受け入れた当時の私のなんと愚かな事よ)
この時は私は燃圧の知識等なかったので、そのまま乗って帰ったのであるが、エンジンがまったくふけなくなり、回転も重く、かぶってしまうようになった。後に燃圧の勉強をして気付くのだが当然の結果である、そこで再びショップに行き、ポンプとレギュレータ交換後に車が遅くなってしまったと説明するのだが、まともな返答はなかった。てーんでこのショップは燃圧に関する知識がないみたい。
今考えれば上記の結果は当然の事で、純正のイニシャル燃圧(大気圧時の燃圧)が2.8Kの設定+ツルシのチューンドロムの車に、アイドリングで3.0K以上もの燃圧設定をすれば、イニシャル燃圧でかるく4.0K以上にもなってしまってるわけで、エンジンが重くかぶるのも当然の事なのだ。




さてと、私はけしてクレーマーなんかじゃーなく、レストランで注文間違えられようとも咎めることなく食べるタイプです。前述したようなかたちで納車された後も、自分の作業前の仕様確認作業が「程度の良いものを」といった言葉に代表される様に主観的抽象的なことにすぎなかった事を自ら反省し、少しづつでもこのショップとうまく付き合い改良していけば良いと考えてました。
そして、その通りに納車後数カ月してからマフラーの中間と触媒を繋ぐアダプタとなるような部品の製作を依頼したのである。しかし、ここで私の期待はあっさりと裏切られた。製作納期1週間という話しだったが、1週間後のその日には完成の連絡はなく、忙しいのであれば仕方ないと、とくにこちらから連絡もせずにもう1週間待った、しかし連絡はない。さすがにしびれを切らした私はショップに電話を入れるとこう言われた。以下そのままである。「明日か明後日になります」、ここでもうその後の車検等の作業予定がつまっていたのでキャンセルも考えこう聞いた「既に製作にはいっているのですか?、それともまだなんでしょうか?」と、その返答はこうだ「いま、担当者がいないのでわかりません」。だったらどうして明日か明後日なんていう言葉がでてくるのか?、こりゃダメだと思いながらも、仏の心で素直に3日待った。しかし連絡はなく、さすがの私もしびれを切らしショップへ行った。そうすると加工元にと渡した部品はそのままの手付かずにあり、スタッフに事情を聞くとフランジがまだ届かないので製作にはいれないという。素直に加工元にと渡してあるものからフランジをカットして使う事もできるだろうし、注文時にもその旨を伝えていたのにこれだ。当初より有に2週間が過ぎ、3週間にもなろうかといういうのに、何の連絡もなく「まだフランジが来ないから」などと呑気に応対するとはどういう感覚でやっているのかと本当にがく然とした。当然、ここで私はキャンセルをいれるにいたったのである。こういった経緯を経て私はこのページを公開したというわけである。

エンジンスワップをはじめ自分や周りにあまり知識や経験や情報が無い作業を依頼した場合等は、出来上がった当初は「完成した」ということに舞い上がってしまって見るべきものが見えなくなってしまうので気をつけてください。
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