REPORT > サスペンション考察

直巻スプリングのバネレート変更時の悩みのポイント


車高調整式サスペンションを装着し、さて車高でもいじってみようかとしたときにあれっと思うことがある。
ヘルパースプリングを利用していない車高調整式サスペンションの場合、プリロードをかけられた状態が推薦車高であれば、遊ばない範囲で車高は下げられるのだが、各メーカーが推薦車高としている状態においてスプリングにプリロードがかかっていないならば、その車高調整式サスペンションはそれ以上に車高を下げようとロアシートの位置を下げた場合はスプリングは遊んでしまうということである。
つまりその車高調整式サスペンションはツルシの状態からは車高は下げられないのだ。
そこでスプリングを遊ばせずに車高を下げようとした場合、ショックアブソーバーのロッド長の変更をしないならば、遊んでしまう分だけ落ちてくれる低いレートでかつ長いスプリングを選択することになる。
あるいは、今のバネレートでは物足りないのであれば、より高いバネレートのスプリングを選択することになるが、そうすると、高いバネレートでは車高があがってしまう。車高も下げたいので、これではまずい。となると、ロアシートを下げてスプリングを遊ばせるしかない、で、遊ぶ分をカバーするヘルパースプリングを使うことになる。

ロッド長の短い(ストロークの短い)ショックアブソーバーを使う場合は高いバネレートが必須となる。バネレートの低いスプリングでは1Gでかなり縮んでしまい、残りストロークが非常に短くなるとともに車高が必要以上に下がってしまうというのが理由である。

では、スプリングを変更する際のポイントは何かというと、TEINのQ&Aをみたら、スプリング変更時の注意点として、「使用する車高の1G状態において、ショックアブソーバーのバンプストロークより、スプリングのバンプストークの方が多い事。または、その車の取付荷重の2.5倍が、使用するスプリングの密着荷重を下回っている事。」とあった。

一輪あたりの取付荷重
(1輪荷重kg−バネ下重量kg)×レバー比

スプリングの密着荷重(最大許容荷重)
スプリングレート(kgf/mm)×スプリングストローク(mm)

ん〜、あくまでも、ストロークの比と取付荷重の2.5倍という二つの条件は「または」でいいのかな。これが「かつ」であるならば、純正スプリング等のレートではプリロードがかかっている場合はよいとして、いわゆるH150などのローダウンスプリングなどは条件を満たさなくなってしまう。と思ったのだが、TEINさんに問合せたところ、「かつ」だそうだ。
また、ショックアブソーバーのバンプストロークに関しても、バンプラバー(バンプストッパー)による強制的なストローク制限を含むのかな。

と、色々有るけれども、「同じバネレートであれば、長いスプリングも短いスプリングも同じ荷重に対して縮む量は同じ」だと言うこと。正直、私はこの原則を理解するのに時間がかかったが、これさえ頭に入れておけばスプリングの選定で悩むこともないし、実際につけてみなければわからないなんていうこともなくなる。
ただ、長いスプリングであれば最大許容ストロークは長くなり、短いスプリングは最大許容ストロークは短くなる。最大許容ストロークはスプリングの長さに概念的には比例する、のだが、Swiftのカタログをよく見ると、8inch/7kg/ID65と9inch/7kg/ID65の最大許容ストロークや最大許容荷重は同一であるなど、そうでないものも存在するので、話はややこしい。

Swiftの東京発条Swift/ID65の一覧

直巻スプリング

こちらのページにサスペンションに関するオススメ本をまとめてみました。ぜひ読んでみて下さい。
このアイテムは閲覧専用です。コメントの投稿、投票はできません。